ブレードランナー2049の感想&私的考察まとめ(ネタバレあり)
ブレードランナー2049観てきた
— 煉獄に沈みつつあるリケリケ (@Rike_rike) 2017年11月17日
既成だと思っていた事実がひっくり返るシナリオ(ここら辺攻殻味ある)とか、文字通りの電脳彼女が可愛らしい(ただし途中で死ぬ)とか、攻殻めいたホログラフィーとか、ほんとサイバーパンクしていた
家帰ったら、頭の整理して話す
というわけで、頭を整理してブログに書きました。
感想
ストーリーについて
新型レプリカントであるKが始末したとある旧型のレプリカントの遺品の中にレプリカントの妊婦の人骨を発見し、存在しているであろうレプリカントの子供を抹殺するために探す……というのが大まかなあらすじ。
捻られてはいますが、そんなに目新しいものじゃないと思います。中盤~終盤のあの流れは人によっては攻殻機動隊っぽさを感じるかも。私もそう感じました。
謎は残っていますが、作中で張られた伏線は概ね回収されているので、観終わった後に考察するのが楽しいです。さっきやりましたが、ほんと楽しかった。
ビジュアルについて
電脳彼女
Kがお仕事終えてお家に帰ると、彼女が待っています。しかし彼女は人間ではありません!
人型ロボットの彼女か!? それとも非人型ロボット!? 機械腕を伸ばすようなAI系彼女も好みだぞ!! 出てきたのは……何とホログラフィー彼女でした。畜生!
しかしこの彼女、とても人間らしい*1です。故にホログラフィーだからKに触れることができない、0と1で出来たプログラムだから良い所で連絡が来てフリーズする、電源切れたり投影機壊れたら消滅する……と言った事実が重くのしかかります。切ない。
サイバーパンク
本作は多くのサイバーパンクのイメージ元となったブレードランナーの続編、という体なので、建物とかガジェットとかがサイバーパンクしています。
- 看板ネオンのように輝く食べ物自販機のボタンを押すと、取り出し口からボタンの商品が出る屋台。
- 朽ちかけた建物群に金属のくず鉄が山のように積まれたスラム街。
- 緑溢れる自然かと思いきや全てホログラフィーで、突然の来客でホログラフィーが消滅して白い床一面の寂しい部屋と化すステリン博士の部屋。
- 赤い嵐で視界不良の元カジノシティの地域に突然現れる巣礎。
監督が「前作が『黒い』ブレードランナーなら、本作は『白い』ブレードランナーだ。」とTVのインタビューで答えたように、全体的に(雪や霧で)白いです。
またテクノロジーは2017年度のものの発展形が多いですが、時たま変な日本語の看板や音声が出てくるのは前作のご愛嬌、でしょうか?なお前作は見たことないです。
以下私的考察のため、ネタバレ注意
私的考察まとめ
ピンク髪の娼婦は何者なの?疑似セックスの後、何をしたの?
ピンク髪の娼婦はレプリカント革命軍*2の関係者であり、恐らくレプリカント。最初はラウの命令(依頼)でKに近づいたが、他の娼婦がKがブレードランナーであることに気づいて退く中、Kがレプリカントの子供について調べていることに気がついてそのまま居残った。疑似セックスで朝チュン後にKのスーツに探知機*3を取り付けた。
Kの記憶の孤児院にいた子供は何故、木馬を他の男の子から隠そうとしたの?何故他の男の子は木馬を狙っていたの?
木馬は本物の木で出来ていて、本物の馬が買えるくらい高価*4であること。ましてやここは孤児院という名の児童労働所である。狙わないわけがない。
ウォレン社にデッカード共々襲われた後、Kはどうなったの?
ウォレン社はデッカードだけ*5を連れていき、Kはその場に取り残された。その夜、Kに取り付けられていた探知機でレプリカント革命軍が来て、Kは保護された。
デッカードは一体何をされたわけ?
デッカードはレプリカント革命軍によって自分の愛した女の記憶をレイチェルのものにすり替えられ、協力させられていた。レプリカント革命軍がデッカードを殺そうとしたのも、ウォレン社にこの事実を露見させられ、怒ったデッカードに仕返しされることを恐れたためである。*6
何故Kは、ステリン博士がデッカードの子だと分かったわけ?ステリン博士は何者なの?
- Kの記憶が本物か作られたものかをステリン博士に調べさせた時、ステリン博士が涙を流しながら*7Kの記憶が「"誰か"の記憶を植え付けられたもの」だと答えていた。ここでKは"誰か"の記憶がステリン博士のものだと気づく*8。
- デッカード宅へ訪れた時、Kは隠した木馬と同じ木で出来た玩具を複数見つけている。本物の木で出来た玩具は高価であり、ましてやここは元カジノシティである。故に、Kはステリン博士はデッカードの子だと判断したと思われる。
- ステリン博士はレプリカントの子供の出生偽装元に使われた孤児*9である。ガラスの部屋を与えてくれた両親は、彼女を養子として引き取ったのだろうと思われる。
- レプリカントに心の安定を求めるウォレン社がお得意様であるが、特に何もされてないことから人間の可能性が高い。
追記
デッカードはレプリカントなのか?
このインタビューだと、(少なくとも)Kと対峙したデッカードはレプリカントの可能性もありそうです。恐らくオリジナルのデッカードは殺害され、デッカードの記憶を持ったレプリカントが造られた?
ステリン博士=レプリカントの子供説
他のネタバレレビューを見る限り、ステリン博士=レプリカントの子供っていう説が多いですね。確かにステリン博士がレプリカントの子供ならば、Kの記憶関連の疑問は解決できます。しかし、謎は幾つか残ります。
*1:娼婦の肉体と電脳彼女の映像を同期させる疑似セックスの後、依代になった娼婦に「あんたの中身調べさせてもらったけど、特に複雑なものはなかった」的なことを言われますが、人間そんなものじゃないですかね?
*2:終盤にKの前に現れ、治療してくれたレプリカントたち。とりあえず仮称。
*3:ラウは電脳彼女のアンテナが折られたことでKを見失い、止む無く警察署へ乗り込んできたので、レプリカント革命軍のものだと思われる。
*4:木馬を分析した分析屋曰く。
*5:デッカードだけなのは、恐らくウォレン社はK≠レプリカントの子供であることを把握していた。
*6:これと娘であるステリン博士のことを鑑みると、デッカードは恐らく人間。
*7:親の形見である木馬を失ったことが余程悲しかったと思われる
*8:どういう過程でKに記憶を植え付けられたのかは特に描写がないが、私的推測としてレプリカントに植え付けるための記憶パックか何かに、レプリカント革命軍の手のものがステリン博士のものを混入させたんじゃないかと思われる。本物の記憶を使うことを禁じられているので、ステリン博士の両親かその関係者でもない限り、その記憶の入手は困難であるが……
*10:本物でも加工された記憶だと思いますが、あの木馬が記憶通りの場所にあったことから、エピソードは実際あったことだと思われます。
*11:ここは前作見れば分かるのかなぁ……?