ただのつぶやき

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100万円の小包(あとがき付き)

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 が高校に進学した記念として、新しく携帯電話を買ったばかりの頃のことだ。当時の私はサイトのポイント欲しさに登録するとポイントが得られる懸賞サイトなどに登録、そして解約を繰り返した。やがてろくでもない業者に私のメールアドレスが渡ったのか、怪しい出会い系サイトのメールが届く様になった。


 容の多くは「貴方は抽選で当たったので○○万円差し上げます」や「もし、付き合って(SEXして)いただければ○○万円あげます」という内容のメールであり、自分の使っているニックネームなどの自分の情報(ただし、個人を特定しうる情報は登録しなかったが)を登録した所為か、メールの文章内で私はニックネームで親しげそうに呼ばれた。時には電車通学の時に使う駅近辺で働いており何時も貴方の姿を見ておりますなどという内容のメールもあった。


 んなある日、こんなメールが届いた。「100万円が入った小包が自分の所に届いてしまった。宛先に私のニックネームが書いてあったが自分にはなんも見覚えがないし、こんな小包を到底受け取れない。迷惑なのでさっさと受け取ってください!」という様な内容だった。暫くすると、「何の音沙汰もないので、こちらからあなたが住んでいる所に行ってきます。早く受け取って!!」という様なメールが届いた。最終的に彼(彼女?)は私が住んでいるとされるアパートの一室まで来たものの、いなかったので帰ってくるまで待っていたら不審人物として警察に捕まってしまったようだ。「小包は警察に預かってもらったので警察から受け取ってください」という内容のメールを最後にぱたりと止んだ。


 直馬鹿馬鹿しかった。自分の元に100万円が転がり込んできたら猫糞してしまえば良いのにと思った。当時の私はこのメールをサクラやそんな類のメールだと思っていたからである。そのうえ当時の私はアパートではなく一戸建ての住宅に住んでいた。


 

 


 がて・・・すっかり私はそのメールのことを忘れてしまった。大学に進学し、そして大学三年生になった頃のことだった。就職して親元を離れて暮らすことに慣れるために、私は大学付近のとあるアパートを借りて暮らすことにしたのだ。長期間見知らぬ地で暮らすことにまだ不安を感じていたあの頃に、あの出来事が起こったのである。


 学三年生になって伸びた受講時間に加えて不慣れな環境によって疲労していた私は、コンビニにも立ち寄らずに真っ直ぐ帰ろうとしていたのである。やがて目的地があるアパートが見えてくると・・・・・・一瞬、私は心臓を握りつぶされそうになった。見知らぬ人物がそのアパートのドアの前を塞いでいたのだ。そのドアは間違いなく私の部屋に通じるドアであった。すっかり日が暮れていたうえにアパートの灯を背にしていたため、その人物が男なのか女なのか若いのか老けているのかはわからなかったものの、何か箱のようなものを持っているようだった。私には見覚えがなかった。なにせ私は、親元を離れて暮らす時どころか大学進学した時から人付き合いは殆ど無かったのだ。親の仕送りは銀行口座に振込む形式であったし、教科書や教材もすでに購入済みであった。親戚からの贈り物かと思ったが、親戚であるならばちゃんとした配達便で送るだろうし、ちゃんとした配達便なら不在届を出してさっさと帰るはずだ。となるとあの人物は消火器詐欺とかに類する人物だろうと私は思った。


 は言え自分の部屋に行くにはドアを塞がれているし、かと言って会ったらどんな目に遭うかわからない・・・取り敢えず、私は不審人物が諦めて去るまで取り敢えず近くにあったファミリーマートに行って時間を潰すことにした。ファミリーマートでは、まず少年ジャンプや少年サンデーを立ち読みした。少年サンデーで連載していた「ポケットモンスターリバースト」がいつの間にか連載終了していた。尤も、途中から冷めていたのでショックは受けなかったが。暫く立ち読みにはまっていた所為か不審人物が自分の部屋のドアを塞ぐようにいたことを忘れた私は、夕飯を食べていないことに気づいたので納豆巻きとネギトロのおにぎりなどを購入し、コンビニを後にした。アパートに来たところでそのことを思い出したものの、着いた時には既にドアの前には怪しい人影すらなく、私は無事に帰宅した。


 の後、箱を持った人物が再びドアの前を塞いでいたり、私と直接対面したりすることはなかった・・・


 


 のメールのことを思い出したのは、あの出来事から3ヶ月以上経ってからであった。思えばあの人物は誤って届いてしまった100万円の小包を渡すためにアパートの一室まで来たが、私がいなかったために帰ってくるまで待ち続けたかもしれない。再び来た時にいなくなっていたのは、きっと近隣の住民によって警察に通報されて捕まったのだろう。だが、よく考えるととてもナンセンスだ。あの時のメールには宛先が私のニックネーム書いてあったらしいし(今使っているニックネームとは異なるし、当然アパート近隣の住民にそのニックネームを教えているわけがない)、間違って届いた以上住所も正確ではなかっただろうし、なんせメールが届いたのが私が高校生の頃である。やっぱり消火器詐欺とかに類する人物という判断が適切だろう。


 


 思えばなぜ、あの時警察に通報しなかったのかわからない。疲労で思慮が足りなかったのかもしれないし、面倒くさいと思ったのかもしれない。だが、もし警察に通報していたのならばあの人物の正体、及びあの箱の中身もわかったのかもしれない・・・

*1:はてなブログの書き方の練習もとい、没って放置していた小説を一気に仕上げてみました。元々「pixiv怖い話」に投稿しようと書いたものですが、「怖い話」というより「世にも奇妙な物語」っぽくなってしまったのが没の原因。それにしても、見たまま編集で書いた奴は設定ではてな記法に変えても、変えられないのね…